前回のブログでは、美容師を辞めてしまう理由の多くが「人間関係」と「理想と現実のギャップ」にあることをお話ししました。
そして、悩みは“悪いこと”ではなく、
成長の入り口であるという考え方をお伝えしました。
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美容師の「辞めたい理由」の多くは人間関係
美容師として働き始めたばかりの頃、多くの人が最初にぶつかる壁。
それが「人間関係」です。
カットやカラーの技術ももちろん大事だけれど、
実際に辞める理由を聞いてみると「職場の人間関係」「職場の雰囲気に疲れた」という声が圧倒的に多い。
給与や待遇面、労働時間なども耳にするけど、こちらは事前のリサーチ不足が主な原因だと思います。
僕自身もこれまでたくさんのアシスタントの悩みを聞いてきた中で、
人間関係の壁がどれだけ成長の方向を左右するかを何度も見てきました。
その時からずっと考えていたことがあります。
人間関係に悩む美容師に対するカウンセラーになろうと。
カウンセラーの資格を取るためには大学、大学院と進まないといけない。しかしそんな時間もお金も頭もない。
心の勉強や心理的な勉強、コミュニケーションなど本を読み漁り、セミナーにも通い続けました。それがベースとなって現在のGMラボの基礎になりました。
話は戻しますが、人間関係に悩むことは悪いことではないと思っています。
むしろ、それは「人として成長しているサイン」でもあります。
今回は、「なぜ人間関係で悩みやすいのか」「どう向き合えばいいのか」、
そして「教育する側としてどんな環境をつくるべきか」までをお話しします。
なぜアシスタントは人間関係に悩みやすいのか?
美容室という職場は、一般的な会社よりも人間関係の距離が近い。
少人数で動く分、相手の表情や口調の変化がダイレクトに伝わります。
その分、温かさも感じやすいけれど、ちょっとした言葉の行き違いがストレスにもなりやすい。
1. サロン特有の「上下関係」構造
美容師の世界はまだまだ職人の世界です。
技術を習得するには、どうしても師弟関係が生まれます。
良くも悪くも「上下の関係」が濃い職場なんです。
先輩の指導が厳しく聞こえたり、注意が人格否定のように感じてしまうこともある。
でもその裏には「早く一人前になってほしい」という想いがある。
先輩も技術を覚えることに集中しすぎて教えるという勉強は未熟だったりします。
ただ、その想いが伝わるには、お互いの理解が必要だと思います。
2. 教育スタイルの個人差
同じサロンでも、先輩によって教え方がまったく違う。
「感覚で覚えて」と言う人もいれば、「一から丁寧に説明する」タイプもいる。
学ぶ側からすると、「誰の言ってることが正しいの?」と混乱してしまう。
この「教える側の基準のズレ」が、人間関係のすれ違いを生む。
教育者自身も、自分の時代の当たり前で指導していないか?を常に意識する必要があります。
3. 二重のプレッシャー構造
アシスタントは、先輩とお客様の両方に気を遣います。
「サロンの裏では先輩に緊張」「表ではお客様に笑顔」。
この切り替えを毎日行うことは、想像以上にエネルギーを使うこと。
仕事に慣れてきた頃、心が疲れてしまう理由の一つがここにあります。
サロン側としてもここをしっかり把握してあげなければなりません。
アシスタントとしてサロンに馴染むまでにはそれなりの時間が必要です。
技術を覚えながら先輩とお客様と接するのは想像以上のプレッシャーになるんです。
4. 社会人として日が浅く、職場という文化をまだ理解できていない
美容師の多くは専門学校を卒業してすぐ現場に入ります。
つまり、社会人としての日常を体験する前に職場に飛び込むということ。
学校では「正解を出すこと」が大事だったけれど、
社会では「状況に合わせて動くこと」が求められる。
学校でもバイトでもそれなりに上手く過ごしていた学生さん。むしろ成績が良い生徒さんほど社会に馴染めず挫折してしまう傾向が見受けられます。
このギャップを理解できず、
「叱られる=否定された」「質問する=怒られる」と感じてしまう人も少なくありません。
教える側も、相手の経験値を見ながら言葉を選ぶ必要があります。
5. アシスタントが育った“環境背景”を理解していない
今の20代前半はZ世代と言われ、生まれた時からスマホが普及してました。
LINEやInstagramでのやりとりが日常だから、
空気を読むより反応をもらう文化で育っています。
だから、「無視された」「反応が薄い」と感じるだけで大きなストレスになってしまう。
それを理解せずに「自分の時代はもっと厳しかった」と言っても、
心は届きません。
教育とは、時代に合わせて伝え方を変えることでもあります。
【第2節】人間関係の悩みを打ち明ける方法を知らない
1. 悩みを「悪いこと」として捉えてしまう
多くのアシスタントは、「人間関係で悩んでいる=弱い、または悪い」と感じてしまう。
だからこそ、悩みを抱えたまま無理に笑顔を作ってしまう。
でも、我慢してしまうほど心はすり減っていきます。
悩むということは、感じ取る力があるということ。
人の表情や空気に敏感だからこそ、相手を想いやれる美容師になれる。
それを「弱さ」ではなく、「感性の強さ」として捉えてほしい。
2. SNSでの間違った発散が逆効果になる
「疲れた」「今日の職場最悪」──そんな言葉をSNSに書くと、一瞬はスッキリします。
でも、根本的な問題は何も解決していません。
むしろ後から見返したときに、「自分が弱音を吐いた」ことに罪悪感を感じてしまう。
SNSの共感は理解ではなく反応にすぎません。
たくさんのいいねをもらったからと言ってもその発言が正しいとは限らないのです。
本当に必要なのは、「話を整理してくれる人」です。
3. 同世代に相談しても「悪口大会」になってしまう理由
同じ立場の仲間に相談すると、
「わかる〜!」「うちの店も!」と共感してもらえる。
それはそれで大切だけど、問題の本質は見えません。
多くの場合、「どうすれば解決できるか」よりも「どうしたら気持ちが晴れるか」で終わってしまう。これはどの立場でも同じことが言えます。
そしてもう一つの落とし穴が比較です。
美容専門学校を卒業して社会に出たあなたの同級生は、
まだ大学生で遊び盛り。
SNSには、旅行や飲み会の写真が溢れている。
そんな姿を見て「自分だけ苦労してる」と感じてしまうのは自然なこと。
でも、忘れないでほしい。
あなたはすでに社会で挑戦している側です。
目の前の現実と向き合い、技術を磨き、成長している。
それは「遊ぶ」では得られない力です。
4. 「打ち明ける相手を選ぶ力」を育てる
悩みを誰に話すかで、結果は大きく変わります。
「聞いてくれる人」ではなく、「整理してくれる人」。
学校の先生、同業の友達、信頼できる先輩──
あなたの話をジャッジせずに聞いてくれる人を選んでください。
相談することは逃げではありません。
心の整理をつけるための「行動」です。
正しく導いてくれる相談相手を見つけてください。
5. 悩みを言える環境は信頼の証
悩みを口に出せるということは、それだけ職場に信頼がある証拠です。
誰も何も言わなくなったときの方が、実は危険。
だからこそ、経営者や先輩は、話せる空気”を意識的に作る必要があります。
職場では仕事の話しかできない。こんな環境では「何か困ったことない?」と聞かれたところで「特にありません」という返事が返ってくるだけです。
【第3節】環境を変える前に、自分の捉え方を変える
人間関係の悩みは、「環境」よりも「捉え方」に左右されることが多い。
同じ出来事でも、どう受け取るかで結果は変わります。
1. 「嫌いな先輩」は未来の鏡かもしれない
イラッとしたり、合わないと感じる先輩。
でもその先輩も、かつては同じように悩んできたはず。
「こういう言い方はしないようにしよう」──
その学びが、未来の自分を育てます。
2. 自分の価値観の型を知る
「なぜ自分はこれを嫌だと感じるのか?」
その理由を言語化すると、価値観が見えてくる。
価値観を知ることで、「人を責める」から「自分を理解する」へと変化します。
GMラボでは、スタッフが「6分野の目標」と一緒に
「今の気持ち」を振り返るワークを行っています。
それは、感情を押し込めず、自分の内側を整える習慣です。
3. 自分を変えると、相手の反応も変わる
人間関係は鏡です。
「相手を変えよう」と思うほど、関係はこじれます。
でも、自分が変わると、不思議と相手も変わり始める。
言葉のトーン、態度、目線──
小さな変化が、やがて大きな信頼につながります。
【第4節】辞めたいと思ったときにやってほしい3つのステップ
STEP1. 感情を書き出す(外に出す)
心が疲れたら、まずノートを開こう。
「疲れた」「つらい」「やめたい」と正直に書いていい。
言葉にすることで、感情は整理されます。
STEP2. 何が嫌なのかを具体化する
「人間関係がつらい」とだけ思っていても、
実はその中身は「先輩に注意された」「自分の意見を言えなかった」など様々。
何が嫌だったのかを具体化することで、次に取る行動が変わります。
自分の感情に向き合うことはとても勇気のあることです。
時間をかけてゆっくりでも良いので何がどうだったのか?と具体的にみてください。
STEP3. 原点を思い出す
なぜ美容師を目指したのか。
最初にお客様の笑顔を見て嬉しかった瞬間を思い出してみてください。
あの気持ちは、今もちゃんと自分の中にあります。
あの時の思いを、今の感情だけで白紙にしてしまって良いのだろうか?と投げかけてみてください。
🌿 そして、誰かに話してみよう
感情を整理できたら、次は声に出すこと。
一人で抱え込むと、心がどんどん硬くなってしまいます。
学校の先生、同業の友達、信頼できる先輩──
誰でもいい、話を聞いてくれる人に一度話してみてください。
話すことで、心の中に風通しが生まれます。
それは逃げではなく、前に進むための行動です。
【第5節】経営者・教育者の視点から
1. 悩みを否定しない文化をつくる
今の時代、「悩み=弱さ」ではなく「気づきの入口」。
経営者や教育者は、スタッフの悩みを正解に導くよりも、受け止める姿勢が求められます。
悩みを話してくれることは、信頼の証。
だからこそ、「話してくれてありがとう」と言えるチームを作ることが大切です。
2. 教育者も完璧ではない自分を見せる
「昔は自分も同じことで悩んでいた」と伝えるだけで、スタッフとの距離はぐっと縮まります。
弱さを見せられる上司は、信頼される上司。
強さだけを見せるリーダーよりも、人間らしさを感じる存在の方が、
スタッフは心を開きやすくなります。
3. 悩みを「仕組み」に変える
声かけで終わらせず、仕組みとして悩みを拾う。
GMラボでは、月に一度スタッフが「目標と感情の定期ミーティング」を行います。
それは数字の報告ではなく、心の状態を確認する時間。
スタッフの顔色や体調など、考え方など人を見る時間です。
離職の多くは、心の小さな違和感を放置した結果です。
その前に気づける体制が何よりも大切。
4. 「家族のような関係性」を重視する理由
今の社会では「ワークライフバランス」という言葉が当たり前になっています。
仕事とプライベートを分けることは大切。
けれどビットでは、“家族のような関係性”を大切にしています。
なぜなら、親は子供の顔を見ただけで何かあったと気づくように、
スタッフのちょっとした変化に気づけるのは、普段から心が通っている関係だから。
「今日は少し元気がないな」「顔色が悪いな」「何か悩んでいるのかな?」──
そんな小さなサインを感じ取ることができるのは、“家族のように思いやる空気”があるからです。
「家で何かあったのかな?」「友達と夜遅くまで遊びすぎたのかな?」
そんな風に想像できるのは、“信頼関係”がある証拠。
健康面や精神面の変化に気づくことは、
技術教育と同じくらい大事な人の教育です。
5. 「働くこと」=「生きること」を共有できるチームへ
仕事を「生活の一部」として考えられるようになったとき、
スタッフは“自分の居場所”を見つけます。
仕事を切り離すのではなく、人生の一部として共有する。
それが、ビットの「スタッフファースト」の真意です。
【まとめ】
人間関係で悩むのは、弱さではなく人間らしさの証です。
人と関わるからこそ、学べることがある。
一人で抱えず、書いて、話して、感じて、また前を向く。
そして、経営者や先輩は「その悩みに気づく力」を磨くこと。
家族のようにお互いを見守り合うサロンには、安心があり、信頼があり、
そして何より“成長”があります。
ビットは、そんな“心の通う職場”をこれからも育てていきます。













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