【美容師の悩みと成長シリーズ】
美容師として働く中で、多くの人が抱えるのは、
「人間関係」「数字へのプレッシャー」「理想と現実のギャップ」。
このシリーズでは、そんな悩みを通して見えてくる成長のきっかけをテーマにしています。
アシスタントからスタイリスト、そして経営者まで──
それぞれの立場で感じるリアルを、ビットとGMラボの視点で紐解いていきます。
第1回: 理想と現実のギャップ〜理想と現実の間にこそ、成長の種がある。〜
第2回:人間関係の悩み〜人間関係の悩みの解消法〜
第3回:やりがいを見失う瞬間〜やりがいは見つける力〜
第4回:美容師が成長できない本当の理由〜数字だけを追う働き方から抜け出すには〜
第5回:続ける人と辞める人の違い〜継続する力を身につける〜
なぜ美容師は辞めてしまうのか?
~離職率を減らすためにできること~
僕がこのブログを書こうと思った理由
美容師という仕事に長年携わってきて、離職の高さは肌で感じています。
「仕事を辞めたいと思っています」
「このままでいいのか悩んでいます」
それらの声に接するたび、僕はいつも違和感をもってました──この職に夢を抱いて飛び込んだ人たちが、どうして続けることが難しくなってしまうのか。
そして気づいたのは、技術が未熟だから、環境が劣悪だから、というだけではないということ。
むしろ美容師が嫌になるというよりは環境が嫌になっていたんです。
重要なのは、理想と現実のあいだにあるギャップです。
このギャップを放置しておくと、誰でも「続けられない」と感じるようになってしまうのではないでしょうか。
だからこそ、僕はこのブログで、データに基づきながら、そのギャップを可視化し、
「じゃあ何をどうすればいいか?」という入口を探していきたいと思っています。
美容師がという素晴らしい仕事を、若い世代にもっと届けたいと思います。
数字が示す現実:美容師の離職率は極めて高い
まずは、数字を共有します。データを知ることが、現実を受け止める第一歩だからです。
厚生労働省の資料によると、短大等を卒業して「生活関連サービス業・娯楽業」(美容師を含む)に就職した人のうち、1年以内に離職した割合は約29.1%という報告があります。
さらに、3年以内に離職した割合が56%というデータもあります。
また、より最近の「美容師として一度就職したが離職した人の割合」は48.0%という調査結果も出ています。
この数値を見て、どう感じますか?
─10人入って、2~3人が1年以内に辞める。
─3年以内には5~6人が辞めてしまう。
─続ける美容師はまだ少数派ということです。
これは技術だけの問題ではありません。
むしろ、「理想と現実」のギャップが人を動きにくくしていると言えます。

理想と現実のギャップが生まれる3つの構造
理想を抱えてこの世界に飛び込んだ美容師が、なぜ離職を考えるようになるのか。
その根本には、次のような構造が存在しています。
1. 理想のイメージが曖昧なまま現場に出る
美容師を目指したとき、多くの人はこう思っています。
「手に職をつけたい」「人を笑顔にしたい」「クリエイティブな仕事をしたい」
しかし、実際の現場に出ると、それがどれほど日常に紛れてしまうかを知ります。
長時間の練習、雑務、体力との戦い──。
理想が明確でなければ、それを続ける意味を見失ってしまうんです。
SNSで見ていた職場と雰囲気が全然違った。という声も聞きます。
軽い気持ちで就職活動をしている学生さんもたくさんいます。
自分が働く職場をしっかりと見つけるというのも離職率を減らす手段かもしれません。
2. 教育側との価値観のズレ
サロン側、先輩、教育担当──これらの価値観や期待がスタッフと一致していないと、溝が生まれます。
サロン側は「技術を早く教えたい」「早くスタイリストになって売上を作ってほしい」
アシスタントは「休憩時間が欲しい。立ちっぱなしで足が痛い」「技術を丁寧に教えてほしい」、
そのすり合わせができていないと、溝は深まるばかりです。
溝が深まることによりモチベーションは次第に落ちていってしまうんです。
こうしてサロン側とスタッフとのコミュニケーションが薄くなっていくことで
スタッフは自分が必要とされていないと感じてしまいます。
この感覚が、離職のひとつのサインです。
3. 成長実感が持てない環境
「自分が成長している」と実感できない状態は、決して長く続きません。
毎日忙しくても、振り返りがなければできるにならず、やってるだけになります。
そのとき、理想との距離感が一気に浮き彫りになり、辞めたいという感情に変わり始めるのです。
スタッフが今何を目指して頑張っているのか。
これまでの期間でどのくらい成長したのか。
これらをサロン側は常に把握していく必要があります。
理想とのギャップを埋めるための視点
理想と現実のギャップをただ「見て終わり」にしないために、僕は以下の視点を持つことを推奨します。
・理想を言語化する
「人を笑顔にしたい」という抽象的な思いを、
「週末に来店された●●さんを笑顔にする」「新規指名を10件取る」など、具体的な言葉に置き換えてみる。
言葉になると、脳はそれを目指すように作動し始めます。
・価値観をすり合わせる
経営者・先輩もスタッフも、共通の価値観を持つことで離職リスクを下げられます。
「このサロンではこういう価値観で働く」という理念を定め、
日々の教育・フィードバックに反映させることが重要です。
理念の共有は非常に大切です。
常に理念をもとにした会話をしていくことで同じ道を歩いているという実感が湧きます。
・振り返りと「できた」の記録をする(スコアリング)
成長実感を持つためには、過去と現在を比べることが必要です。
ノートに「今日できたこと」「先月できなかったこと」を書く習慣をつけると、
「自分は確実に前に進んでいる」という実感が得られます。
できれば何人できたと数値化させましょう
経営者視点からの提案
離職を防ぎたいと考えている経営者・店長へ。
スタッフが辞めてしまうのは、個人の問題ではなく、組織として対策可能な構造です。
求める結果(売上・成長)と、その裏にあるなぜ働くかの目的を明確に提示する。
スタッフの理想をヒアリングし、その実現をサロンとして支援する文化を作る。
感情的な声に耳を傾け、「怒って終わり」ではなく「なぜそう感じたか」を対話する時間を持つ。
教育が終わったら終わりではなく、「次の成長のための問い」を毎月投げかける。
これらを意識することで、離職率を人が辞めざるを得ない職場から、人が成長し続ける職場に変えていくことができます。
まとめ:ギャップは「危機」ではなく「種」
美容師の起業者数・免許登録者数は増加している一方で、離職率が高止まりしているという現実。
その原因の多くは、理想と現実のギャップにあります。
でも、そのギャップは、危機でも問題でもなく、成長の種です。
理想を明確にし、価値観をすり合わせ、成長を可視化できる環境を整えることで、
その種は花を咲かせます。
僕たちは、その花を咲かせる場をつくる責任があります。
次回は、アシスタントが抱えやすい「人間関係の悩み」を深掘りします。
先輩が怖い、お客様との距離感──そういった日常の声から、成長のヒントを見つけていきましょう。














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