経営者の視点

おもてなしのこころ|誰かを迎えるということ

おもてなしのこころ|誰かを迎えるということ

こんにちは、GMラボのジンです。

美容室の入り口に掲げた言葉があります。
それが「おもてなしのこころ」。

これは、ただのキャッチコピーではありません。
僕が経営するヘアーズビットという場所。

20年以上使ってきた言葉が「おもてなしの心」です。
何度もリニューアルしたホームページ。常にこの言葉を最初に出すようにしています。

ヘアーズビットのホームページ

おもてなしという言葉を聞くと、
多くの人が「サービス」や「気配り」をイメージします。
でも、僕たちが考えるおもてなしとは、
相手を思う気持ちをどう在るかで示すことです。

その象徴が「いらっしゃいませ」を言わないという選択でした。


言葉の前にある「空気」で伝える

美容室に入ったとき、
「いらっしゃいませ」と声をかけられるのは当たり前。
でも、ビットではそれをあえて言いません。

理由はひとつ。
言葉よりも空気で伝えたいから。

お客様がドアを開けた瞬間、
その空間に流れる柔らかい空気、
スタッフの笑顔、
そして「今日も来てくれてありがとう」という想い。
友達の家に来たかのような緊張しないで立ち寄れる空気。
今の言葉で言うならばサードプレイスです。

それが自然と伝わるなら、
言葉は必要ないと思っています。

形式的な挨拶よりも、
その人の存在に心から反応できる瞬間を大切にしたい。
だからこそ、僕たちは声ではなく心で迎えるんです。


マニュアルではなく、感性で迎える

おもてなしの心は、マニュアルで教えることはできません。
「このタイミングでこう言いましょう」「この順番で案内しましょう」
そんな型にはまった接客は、どこにでもあります。

でも、人はマニュアルで動かされる存在ではないし、
迎え方にも正解はない。

ビットでは、スタッフ一人ひとりが自分の感性で動きます。
お客様の表情、歩き方、声のトーン、
その日まとっている空気感を感じ取り、
「どうすれば安心してもらえるだろう?」と考える。
ただし、お客様が来た時に何も言わないのは失礼に当たります。
なので「こんにちは」と挨拶で迎え入れてください。とだけ伝えます。

おもてなしとは、相手の今を想像すること。

それは誰かに言われてやることではなく、
自分で感じ、自分で考え、自分で動く力です。

そうして生まれる行動は、たとえ小さくても、
相手の心に深く届くものになります。


迎えるという行為の奥にある想い

美容師の仕事は、カットやカラーを通してお客様を笑顔にすること。
でも、それ以上に大切なのは、
その人が安心して心を委ねられる空気をつくることです。

たとえば、雨の日に傘を置くスペースをさっと用意する。
疲れた表情のお客様に、少し長めのシャンプーで癒しを届ける。
緊張している初来店の方には、あえて静かに距離を取ってあげる。

どれも「決められたこと」ではありません。
その瞬間に相手を思って自然に出る行動です。

おもてなしとは、「あなたのために」という意識ではなく、
「あなたを思って」の行動。

そこには押しつけも演出もいらない。
ただ、心の中で「この人がここに来てよかった」と思えるように動く。
それだけで、空間が変わる。
これを象徴するのがシャンプー技術なんですよね。
教わった通りにやっても気持ちよくはないんです。
その人によって強さやリズム、声掛け。これこそがその人を思うおもてなしの原点なんです。
ヘアーズビットがシャンプー技術にこだわるのはここなんです。


迎える人が成長する場所

ビットのスタッフは、みんな迎える力を持っています。
それは技術や経験ではなく、観察力と思いやりの積み重ね

たとえば、後輩が困っていたら手を止めてサポートする。
お客様が話しにくそうにしていたら、代わりに声をかける。
何かを言われて動く前に、感じ取って行動する。

この文化は、誰か一人のルールではなく、
全員の意識から自然に育っていったものです。

そしてそれが、
「居心地の良さ」という形でお客様に伝わっていく。

おもてなしは、お客様のためだけではなく、
働く人たち自身をも育てる。

迎える側が成長すると、
その空間は人が集まる場所に変わっていくのです。
理念を共有した組織。家族のような組織なんです。


誰かを招き入れるということ

「おもてなしのこころ」とは、
お客様に限ったことではありません。

それは、スタッフ同士にも、友人にも、家族にも通じるものです。

誰かがここに来る。
誰かを招き入れる。

そのときに、
「自分はこの人に何ができるだろう?」
「どうすればこの空間を少しでも明るくできるだろう?」
そう考える気持ちが、すでにおもてなしの始まりです。

それがお客様なのか、スタッフなのか、友達なのか。
ここに誰かを招き入れるためにできることを最大限努力する。
これこそが、おもてなしのこころなのではないでしょうか。

おもてなしとは、特別な行動ではなく、日々の中での心の姿勢
相手の立場に立って考えること。
そして、自分の心をひらくこと。

その積み重ねが、人と人との信頼を深めていく。
そして、それが結果的に「このお店の空気が好き」と言われる理由になる。

美容室とは、技術を提供する場所ではなく、
人の心を迎え入れる場所。

そこに流れる静かな温度が、
ヘアーズビットの「おもてなしのこころ」です。


💡 まとめ

「いらっしゃいませ」を言わないのは、
冷たいからでも、特別なこだわりでもありません。

言葉の前にある想いを大切にしているから。
言葉を使わずとも伝わる関係を築きたいから。

美容室という空間で、
誰かを迎え、誰かに安心を与え、誰かを笑顔にする。

この“迎える文化”を、これからも大切に育てていきたい。
それが、ヘアーズビットの変わらない信念です。


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